行方不明になったラン女王の巣から、1匹目の働き蜂が羽化して、そろそろ3週間が経とうとしています。女王蜂の行方不明 どうなる?!残された幼虫たち
あれから続々と働き蜂が羽化し、5ヶ所あったまゆから5匹の働き蜂が生まれました。
一番目のお姉さん蜂は、顔の中心にホクロのような黒い点があるので「テンちゃん」と呼んでいます。
テンちゃんは羽化から5日目に、やっと飛ぶ練習を始めました。
母蜂がいないので、誰にも教えてもらえませんから、飛び立つのは勇気がいったことだろうと思います。
用心深く、飛ぶ練習を重ねていました。
空中でホバリングをしてみる。成功!
→巣からちょっと離れて戻る。成功!
→さっきよりもう少し離れてまた戻る。成功!
→もっと離れてみてから戻る…。成功!
そして、初めての狩りに出かけていったのです。
飛び立つ様の凛々しかったこと!さすが姉さん蜂です。
テンちゃんが飛び立った次の日には、2匹目の働き蜂も連れ立って飛び立つ様子が見られました。
頼りになる姉さん蜂のおかげで、次々と飛べるようになっていきました。
これで、もう大丈夫…。
幼虫たちは、姉さん蜂たちが世話をしてくれるでしょう。
私はホッと一安心しました。
6月が終わろうとしている今日、ラン女王の巣には6ヶ所の巣穴にマユができています。
ボロボロだった巣はしっかりと補修され、巣穴の数も増えました。
私がほんの少しだけお世話をした幼虫たちもマユになりました。
羽がはえて、飛べる日も近いと思います。
女王亡き後にも、こうして働き蜂たちが命をつないでいくなんて、生命ってやっぱりすごいなと思います。
まさか…カオリ女王の巣が!!
羽化した働き蜂たちによって、ラン女王の巣がもちなおし、平和な日が訪れたのも束の間。
またしてもショックな出来事が起こってしまいました。
ジンチョウゲの枝の、カオリ女王の巣がアリたちに襲われたのです。
朝、いつものようにそれぞれの巣をのぞいて「おはよう」の挨拶をしてまわっていたのですが、カオリ女王の巣に蜂たちはおらず、かわりにアリの大群が巣を覆っていました。
そんな…!
まさか…!!
しばらく呆然となり、アリだらけの巣を見つめるしかできませんでした。
昨日は元気そうにしていたのに…。
どうしてこんなことに…。
アシナガバチは、お腹からアリの嫌いな物質を出すことができ、この物質を巣柱に塗りつけてアリから巣を守っています。
左の写真を見てください。
巣柱のあたりが黒光りしているのは、蜂たちが塗りつけたアリが嫌う物質です。
守られていたはずなのに…。
アリたちに防犯システムをくぐり抜けられてしまいました。
さまよえる王子
一家離散となってしまったカオリ女王率いる蜂たち。
一体、どこへ行ってしまったのでしょうか。
どこかで、また新しく巣を作り直しているのでしょうか。
もうすぐ最盛期を迎えるという時に、どんなに悔しかったことでしょう。
離散して数日、また戻ってくる蜂がいるのではないか?
そんな期待をして、ジンチョウゲのあたりをチラチラ見ていたのですが、ある日ブーンという羽音が聞こえたのです。
アシナガバチです。
働き蜂が戻ってきたのかもしれない!
でも、よく見ると、それはオス蜂でした。
「王子だ!」
白っぽい、あどけない顔をした大きめのアシナガバチ。
間違いなく、オス蜂です。
ジンチョウゲの周りをさまようように飛んでいたことから、もしかするとカオリ女王の巣から生まれたオス蜂なのではないかと推測しました。
オス蜂は普通、巣の上でブラブラしていて何もしません。毒針も持っていないので、巣を守ることさえできません。
働き蜂に餌をねだって、面倒を見てもらうのです。
オス蜂のたった一つの最大の役目は、女王蜂と交尾することです。
居場所のないさまよえる王子を、私は不憫に思いました。
この王子はどうなってしまうんだろう…。
そんなある日、このさまよえる王子がメス蜂と一緒にいるところを目撃したのです。
左の写真の上側にいる、白っぽい顔をしているのがオス蜂です。
写真は撮り損ないましたが、一緒にいたメス蜂から口移しで何かもらっていました。
さまよえる王子の世話をするということは、このメス蜂はカオリ女王のところの働き蜂ではないだろうか?
彼女らはやはりどこかに逃げていて、襲われた巣を気にして戻ってきたのかもしれません。
そこで王子を見つけ、世話をやいたのかも。
蜂に印をつけていたわけではないので全て憶測でしかないのですが、もしそうだとしたら、働き蜂たちは王子を見捨ててはいないということ。
襲われた巣に1ヶ所だけ残っているマユのことも、気にかけているのかもしれません。
(後で確認したところ、マユの中身もアリに食べられてしまっていました。)
彼女らの母性はどこまで深いのだろう…。
みんなどこかで元気に暮らしていますように。そう願っています。
はに子女王の巣は
はに子女王の巣は、働き蜂が8匹になりました。
観察していて気づいたのですが、生まれたばかりの蜂の目は黒っぽく、しばらくすると茶色い色に変わってくるようです。
はに子たちは毎日、せっせと虫団子をとってきては幼虫たちに与えて育てています。
毎日のように顔を見せる私のことは、「ああ、アンタか」という感じでほとんど気にしていないようです。
それどころじゃないんでしょうね、忙しくて。
はに美女王のところは高いのでなかなか確認できませんが、こちらも順調のようです。
テンちゃんたちの巣も含め、アシナガバチたちの巣は、これから最盛期を迎えようとしています。
はに子女王と働き蜂たちの子育ての様子です。
巣の中央付近、のっぺらぼうのようになっている幼虫たちは脱皮しようとしている幼虫です。
アシナガバチ観察4〜6月 女王蜂の子育て奮闘記
アシナガバチ観察7月 女王蜂の不屈の精神