子どもたちが、学校の友達と、川へ生き物観察に出かける約束をしてきました。

なんでも、前回行った時は、ミズカマキリをつかまえたのだとか…。

「ミズカマキリってなあに?どんな生き物なの?」
興味をひかれた私は、お邪魔かなあと思いつつ…
「一緒に行ってもいい?」と聞いてみました。
すると、「いいよー!」と子どもたちが快くOKしてくれたので、仲間に入れてもらうことに。

子どもたちが自然の中で安全に遊ぶことができるかどうか、確認しておかなければ…とも思ったのです。

どんな生き物に出会えるのでしょうか?
網持って、バケツ持って、レッツゴー!

加悦奥川へ

「こっち、こっち〜!!」

子どもたちに案内されてやってきたのは、ちりめん街道のすぐそばを流れる加悦奥川。
もうすぐ野田川と合流するあたりです。

水深も浅く、流れも緩やか。
天候にもよるでしょうが、ここなら安全そうです。

網をかまえて、早速探索を始める子どもたち。
流れの緩い端っこの方や、草の根元、石の下…。
ちゃんと生き物がいそうな所を狙っています。

「見つけた!魚!!」

あら、かわいらしいお顔。

「マゴチに似とる〜。」

「エビがいた!!」
「おっきいエビもおるで!ザリガニじゃないよ。」
「ハイ、これはヤゴ。」
「あ、これはメダカかな。」

小さな漁師たちは、なかなかの腕前。
次から次へとつかまえて、ケースの中はどんどんにぎやかになっていきます。

大漁、大漁!

「冷て〜!長靴の中、水入っちゃった!」

靴下がびしょ濡れになるのにも、時間はかかりませんでした。
「気にしない、気にしない。脱いじゃえばいいや!」
絞って丸めて、かばんにつめて、探索を続けます。

思わず、クスッと笑ってしまいました。

ヒメミズカマキリ

ほんの数十分で、様々な生き物が見つかりましたが、子どもたちいわく、一番の大物は前回つかまえたミズカマキリなのだとか。

大切な宝物のミズカマキリを、見たがる私のためにお家から連れてきてくれました。

ヒメミズカマキリ

「すごい!ほんとにカマキリみたいな顔。」私が目を丸くして見ていると、男の子がミズカマキリのことを詳しく教えてくれました。
メモをとったので、ここからは彼が説明してくれたとおりに書きますね。

ミズカマキリ

お尻のところにある呼吸管を水面に出して、あしを水草に引っかけて、獲物が目の前を通ると、ハサミの部分を使って捕まえ、獲物を口元まで運んで、口元から生えている針を獲物に突き刺す。
そして、獲物の体に消化液を注入して肉を溶かし、吸う。
成虫には羽があって、飛ぶこともできる。

田んぼや池で、卵から生まれるけど、農薬に弱くて、すぐに死んでしまう。
強そうに見えるけど、力は弱い。
これは小さめだから、ミズカマキリの中でもヒメミズカマキリという種類。
幼虫の時は、棒みたいな体つきで、赤くて可愛い。
生息地は日本全国。


「お見事!!」

「そんな詳しい知識を、一体どうやって知ったの?」感心した私がたずねると、
子どもたちは、
「学校の理科の先生に聞いたり、担任の先生に許可をもらって、友達と休み時間にタブレットで調べたんです。」と。

「…素晴らしい!!!」

ルールを守りながら自分たちで調べ、ひとつの知識だけで満足するのではなく、方法を変えてさらに知識を深めようとしている…。
子どもたちの探究心と行動力に、感心してしまいました。


『沈黙の春』の著者、レイチェル・カーソンは、『センス・オブ・ワンダー』の中でこう述べています。

美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。

レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』より

きっと子どもたちは、ヒメミズカマキリに心を動かされ、興味がわいたのでしょうね。
自分たちで見つけだした知識を、しっかりと身につけていました。

ちなみに、彼らの宝物のヒメミズカマキリの名前は、『ヒメちゃん』。
これから、飼育に挑戦するのだそうです。

自然は、いつの日も子どもたちに素晴らしい贈り物を用意しておいてくれる…。本当にそう思います。

センス・オブ・ワンダー 生涯消えることのない炎

さて、加悦奥川での観察を終え、子どもたちの提案で「ポイントを変える」ことに。
次は野田川に行ってみよう!ということになりました。

生態系を壊さないように、観察を終えた生き物を元の川に戻したら…
濡れた足を拭いて、自転車にまたがり、レッツゴーです。
私は走って追いかけますよ〜!

「まってーーーーーーっ!!」

野田川へ

野田川で網をかまえて生き物を探していると、橋の上で町の方に出会いました。

「こんにちは。」と、挨拶をすると、
「あんたら、鮭とっとんか?」と聞かれ…。

「ち、違います。鮭はとってません!」

首をブンブン振って慌てて説明すると、おばさんはニッコリ笑って、
「向こうの役場の裏に行ってごらん。鮭が見れるかもしれんよ〜。」と、教えて下さいました。

与謝野町の中心を流れる野田川には、毎年秋になると鮭が遡上してくるのです。

野田川から世界の大海原へ!旅立つ鮭の稚魚たち


みんな大喜びで、早速そっちに向かうことに。

「ありがとうございます!行ってみまーす!」

「鮭はとったらいかんよ〜!」

「はあーーーーい!!」

「レッツ、ギョーーーッ!!」
さかなクンの真似をしながら、走れーーー!ギョッギョギョ〜ッ♪

大急ぎでおばさんに教えてもらった場所に行って探索開始です。

ところが…
「えーーー?どこ??」
見慣れていない私たちには、なかなか鮭を見つけることができませんでした。

そこへ、またまた町の方との出会いが…。
今度はおじさんが、鮭が泳いでいる場所を指差して教えて下さったのです。

指された方向を目を凝らして見ると、見えました!!!
「ホントだ!いた!!」

子どもたちにも見えたようです。

私は大興奮でカメラを向けましたが、水面が光ってなかなかうまく撮影することができませんでした。
オスはお腹に赤いまだら模様があって、体つきが大きく、メスはオスより少し小さめに見えました。
同じ個体かもしれませんが、5回くらい姿を確認することができました。

世界の海へと旅立った鮭の稚魚たちが、川のにおいを頼りに、こうして戻ってきたことに、驚嘆せずにはいられません。

中央付近にいるのですが…見えるかな〜。

「すごーーーい!やったね〜。鮭、見れたね〜。」

鮭にも出会えて、今日の生き物観察は本当にラッキーです。
町の方々が親切に声をかけて下さったおかげです。
皆さんこの町の自然を愛していらっしゃるんだなあと、改めて感じました。


鮭以外の野田川で出会った生き物は、というと…。
加悦奥川よりも水深が深く(その日は子どもの膝下くらいでした)、流れも速かったことから、見えはするけれどなかなかつかまえることができませんでした。

エビや小魚が見えたそうです。

自然が教えてくれるもの

川で生き物を探したり、つかまえる経験をとおして、子どもたちはどんなことを感じたのでしょうか。

水の冷たさや、川底の感触、流れの速さ、におい、そして生き物の命の感触。
自然からしか知ることのできないものを、心と体で感じていたと思います。
心が動くと、知りたいという欲求が自然にわいてくるんですね。
子どもたちの探究心と行動力、深められた知識が、それを物語っていました。

こういう経験をしっかりと積んだ子どもたちは、感受性を豊かにし、自然界の命のつながりにまで意識を向けることができるようになってきます。
生命の循環の中で生かされている自分が見えるようになったとき、自然を本当の意味で愛し、自らのことも、周りの全ても、大切にすることができるようになるのです。

自然の中で、子どもたちの瞳が輝くとき、未来にも希望が広がっていく…。
私は、そんなふうに感じています。

最後に、これからも安全に遊ぶために、子どもたちと気をつけることを確認し合いました。

雨が降っている時や、川の水が増水している時は、絶対に川に近付かないこと。
天気が悪くなってきたら、川から上がること。
遊びに行く時は、どの辺りで遊ぶか必ず大人に伝えておくこと。(ポイントを変える時も報告する)
野田川には、子どもたちだけでは入らないこと。(大人を誘う)

子どもたちから危険を取り除くことは重要ですが、何でもかんでも禁止していては、危険を回避する能力や、対処する能力、判断力を身につけることはできません。
自然を畏れ敬うことを、経験をとおして身につけていって欲しいと思います。

さあ、次はどんな冒険をして、何を発見できるでしょうか。
わくわくします。

曼珠沙華の散歩道


野田川親水公園で生き物観察