朝晩は涼しさを感じるようになって、エアコンの出番も少なくなってきましたね。
就寝時、窓を開けておくと、虫の鳴き声が聞こえてきます。
心地の良い音色です。
先日、立ち寄った店でキーホルダーを買いました。
透かし模様が入った、ハート型の鈴です。
キーホルダーなど、いつもは興味をもたないのですが、それはパッと目につきました。
「美しいな…。」と思って触れると、やさしい鈴の音がしたので、興味をひかれたのです。
10個くらい同じものが商品掛けに掛かっていたのですが、振ってみるとどれも音色が違いました。
ますます興味をひかれ、全部手にとって一個ずつ鳴らしてみました。
カラカラと乾いた音、ガラガラと濁った音、チリリンと澄んだ高い音、それよりちょっと低い音…。
「へー。同じ製品なのに、こんなに音が違うの?」
こうなると急に欲しくなってくるもので、一番耳に心地良いと感じた、澄んだ高い音の鳴る鈴を買いました。
鈴も色々な音色がありますが、主張する尖った音のものは、なんだか耳障りに感じて、私はちょっと苦手です。
その鈴は、ひかえめでやわらかな響きで、そこが気に入ったのです。
夜になり、ベッドに横になると、開けた窓から虫たちの鳴き声が聞こえてきました。
秋の虫の声は、『鈴をふるような音』と、よく表現されますよね。
「そうだ…。昼間に買ったあの鈴と比べてみよう。」
そんなことをひらめいた私は、鈴を取ってくると、またベッドに横になって、手のひらの上でそっと転がしてみたのです。
チリリン、シャリン…。
暗闇の中で鈴が鳴ったとたん、可笑しくて吹き出してしまいました。
だって、あまりにも違ったから!
淡い期待がぶっ飛んでしまったことが、なんとも可笑しくて…!
暗闇で鈴を鳴らして笑う人なんて、怖すぎますよね。
私が気に入った鈴のやわらかな響きは、虫たちの奏でる音色の足元にもおよびませんでした。
「すごいなあ…。」
彼らが奏でる繊細な響きを真似できる楽器は無いんじゃないかなあ…。
もし手元に鈴があったら、やってみて下さい。
虫たちが鳴く理由
虫たちがなぜ鳴くのか、ご存知ですか?
鳴く虫は、たいていオスの昆虫が鳴いています。
スズムシやコオロギ、キリギリス、クツワムシなど。
彼らが鳴くのは、結婚のパートナーを探すため。
メスに自分の居場所を教えようと、未だ見ぬパートナーにむかって「僕はここにいるよー!」と、力の限り鳴いているのです。
スズムシは、羽化したばかりの頃は、音を出すための前羽の下に、後ろ羽根をもっています。
この羽を使って、飛ぶことができるのです。
でも、彼らは前羽で音を奏でるために、邪魔になる後ろ羽根を自分でむしり取ってしまいます。
うそでしょう?なんて事するの…!
残しておけば飛ぶこともできただろうに…求愛のためにその羽をかなぐり捨ててしまうなんて…。
涼やかなあの音色は、オスのスズムシたちの、熱い決意を秘めた音なのです。
やさしい音色のひみつ
彼らが奏でる繊細な響きは、どのようにしてうみだされているのでしょう。
人間は、喉の声帯を震わせ、口や舌を使って発声しますが、彼らは羽と羽をこすり合わせることで音を出しています。
前羽の裏側に、細かな歯が刻まれたヤスリのようなものがあって、もう一方の羽にあるかたい摩擦片をこすり合わせて出した音を、両羽の発音鏡という部分で大きくして響かせています。
スズムシやコオロギの鳴き声の音域は、人間の耳で聞きとれますが、キリギリスが出す高い音の鳴き声の中には、人間には聞きとれない超音波も含まれているのだそうです。
ちなみに、彼らの耳は前脚にあります。
左右両方の前脚の関節のすぐ下のところに、鼓膜の張った小さな穴があり、それで音の方向を探るのです。
虫たちの鳴き声に耳を傾けてみよう
夜、眠りにつく前に、虫たちの求愛信号に耳を傾けてみて下さい。
何気なく聞くのではなく、リラックスして、じっくりと耳を傾けてみて下さい。
この鳴き声は何という名前の虫か…なんて考えないで、ただじっと聞くのです。
さざ波のように聞こえる全体の響きの中に、少し違った音を感じたら、その音に集中してみましょう。
自分の右側から聞こえてくる響き、左側から聞こえてくる響きを感じて、いくつか違った音を感じたら、ひとつづつ聞き分けてみようと試みるのです。
どの辺りで鳴いているのか、見当をつけることもできます。
10mくらい先で鳴いているもの、もっと集中して20mくらい先の方からも、聞こえるでしょうか?
そうして集中していると、突然カエルが「ケケケケケッ!」なんて笑うように鳴いたりしますよ。
つられてクスッと笑ってしまいます。
車のタイヤがアスファルトの上を通り過ぎる音が聞こえたら、虫たちが奏でる音と比べてみて下さい。
音の質の違い、振動の荒さや細かさが、よくわかります。
こんな風に意識して聞いてみると、まるで体に染み込んでくるように、その響きと一体になれます。
私はそれで気分がスッキリしたり、縮こまった意識が拡大するように感じられるのです。
心と体を整える
ずいぶん前に読んだ本の中に、波動を用いて体の不調を治す、『波動医学』というものがありました。
波動には周波数、波長、波形、振幅というものがあり、音も同じです。
宇宙に存在するものは全て振動していて、波動を出しています。
体の臓器も全て、固有の振動数をもっているので、音や光を使って、不調和を起こしている体の波動を本来の状態に調整して、健康な状態に戻していくというのが、波動医学であったと記憶しています。
すごいなあ。と感心したのですが、それって虫の鳴き声に耳を傾けるのと似たようなことなのではないかな?と思いました。
地球人である私たちにとって、地球の生命体が発する響きはふるさとの音なのですから、心や体が整うのも不思議ではありません。
地球の鼓動 Mother Earthのうた
秋の夜、大地を覆う生命の響きは、『地球の鼓動』であり、『Mother Earthのうた』です。
朝が近づき、東の空が白んでくると、それは鳥たちのさえずりに変わります。
風の音、雷鳴、波音、木々の葉が擦れあう音も、みんなそうです。
私たちは地球から生まれました。
土と海水と空気、太陽の光から生まれた生命体です。
私たちがどんなにやんちゃで、勝手気ままをし、その存在を忘れようとも、Mother Earthはいつも変わらず私たちを想ってくれています。
生命が奏でる響きは、地球というお母さんから届く贈り物です。
贈り物を受け取って、開けてみれば本来の在り方へと還る道がわかります。
分離へと突き進んできた道を、光と闇を統べる方向へと、還ってゆくのです。
それは人間の意識の進化であり、原点回帰でもあります。
Mother Earth。
ふるさとは、あたらしいのです。
蝶が舞うという奇跡
シンデレラ 勇気と優しさは光の剣