丹後地方で夏になるとよく作られる煮物に、「なすのあほう煮」があります。
何があほうなのかというと、「美味しくてあほうほど食べられる」という意味であほう煮なんだそうです。
義母は「あほうでも作れる」くらい簡単だからあほう煮なんだと申しておりましたが…。
とにかく、簡単で美味しいという意味のようです。
確かに、暑い日に冷蔵庫でつめたく冷やしたあほう煮は、鍋を抱えて食べたくなるほど美味しいです。
暑くて、台所で長居したくない時に、簡単に作れるのもいいところ。
そんな超簡単な「なすのあほう煮」の作り方をご紹介しましょう。
なすのあほう煮
材料(4人分)
- なす…5本
- 油…大さじ2
- だし汁…1カップ
調味料
- 砂糖…大さじ2
- 醤油…大さじ2
- 酒…大さじ1
作り方
1、なすを斜め切りにする。太いものなら縦半分にしてから、3〜4㎝くらいの厚みに切ります。
水に浸してアクを抜き、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。
2、大きめの鍋に油をひき、なすを炒めます。
焼きなすか!と思うくらいしっかり炒めた方が美味しく仕上がります。
焦げ付かないようにかき混ぜながら、なすがしんなりするまで炒めて下さい。
3、だし汁と調味料を加え、鍋に蓋をして弱火でゆっくりと煮含めます。
出来上がってすぐに食べるより、夏は冷蔵庫でつめたく冷やしてからの方が美味しいです。
丹後地方では、同じようにしてピーマンもあほう煮にします。
私はピーマンのときは少し砂糖の量を減らして作ります。
「ピーマンのあほう煮」も美味しいですよ。
さばのへしこ
「さばのへしこ」は、さばをぬか漬けにしたものです。
へしこにする魚は、さば以外にもいわしやあじ、太刀魚などがあり、魚によってつくる時期は違いますが、おもに2月末から4月にかけて漬け込みます。
「へしこ」は「圧しこむ」からきた言葉であろうと言われたりしますが、いわしのことをひしことも言い、それをぬか漬けにしたことから「へしこ」に訛ったのではないかとも言われています。
塩漬けにした魚をさらにぬかに漬け込んで作るへしこは、とても塩辛い食べ物です。
私は、初めて食べたとき、ガブリとほおばって、そのしょっぱさにびっくりしました。
そういう食べ方をするものではないのですね。
普通の焼き魚という扱いではなく、漬物。
魚の「ぬか漬け」なのです。
少しづつ、ご飯にのせて食べるのがちょうどいいです。
はじめこそびっくりしましたが、今では大好物になりました。
暑い季節はへしこの旨味のある塩気が欲しくなります。
材料
- さば…40本
- 塩(塩漬け用)…2.5〜3kg
- ぬか…2kg
- 塩(本漬け用)…1.2kg
- 赤唐辛子…数本
- 山椒の葉…適量
作り方
塩漬け
1、さばは頭を落として、背開きにし、内臓や血合いをとって水洗いし、水気を切っておきます。
2、さばの両面にしっかりと塩をまぶし、樽に並べていきます。
さばとさばの間にも余った塩をふりかけながら重ねていきます。
3、虫が入らないようにビニールをかぶせ、重石をかけて4〜7日くらい置いておきます。
本漬け
1、さばからしえ(魚から出た汁)が上がってきたら、さばを樽からざるにあげて、水気を切ります。
しえは、ぬかに漬ける時に使う分(ボウル1杯分くらい)を残しておいて下さい。
2、ぬかと塩をよく混ぜて、樽の底に敷き、しえがきれたさばを漬け込んでいきます。
さばを樽に並べ、隙間があかないようにぬかをふりかけます。
さばとぬかを交互にしながら表面を平らにならします。
3、一番上に、虫除けのために赤唐辛子と山椒の葉を入れ、重石をかけ、涼しいところに置いておきます。
4、何日かして、しえがあまり上がらなければ、残しておいたしえをふりかけます。
塩が少ないと身が砕けてしまったりするので、塩をよくきかせるのが失敗しないコツです。
しっかり塩をきかせたへしこは翌年になっても美味しく食べられますが、ぬかが発酵してくる頃(梅雨明け頃)が最も美味しいそうです。
食べるときは、さばを適当な大きさに切って、ぬかを落とさないで軽く焼きます。
(焦げやすいので、火加減に注意して下さい。)
このぬかが、焼ける匂いが香ばしくて食欲をそそるのです。
さばの旨味を含んだぬかの塩気はクセになりますよ。
丹後のばら寿司
伊根湾 海と人、そして森