前回の記事治癒の神秘と生命の原子ソマチッドで、現代人のミネラル不足について書きました。

現代は、普通の食生活をしていてもミネラル不足が起きやすい状況にあります。

飽食と言われる時代にあって、ミネラル不足になっているなど、思いもよらぬことですが、食生活を改善し、不足していたミネラルを補うことで原因不明の不調(子どもの問題行動や大人の心身の不調)が改善した例が多数報告されています。

今回の記事では、ミネラル不足の原因と、不足しがちなミネラルを摂取するために家庭でできる工夫をご紹介します。

かぼちゃとわかめのお味噌汁

現代人にミネラルが不足してしまうのはなぜ?

1、土壌の劣化により作物の栄養素が乏しくなっている

戦後、急速に広まった化学肥料と農薬に頼った農業により、生産量は増加し、農作業の負担は軽減されました。
消費者に好まれる、見た目が綺麗な野菜がスーパーに並ぶようになりましたが、戦前に比べ野菜に含まれる栄養素は激減してしまいました。

化学肥料(窒素、リン酸、カリウム)を与えれば野菜は育ちますが、多種の土壌ミネラル成分は作物に吸収される度に枯渇していきます。
ミネラル成分が偏った土壌で育った作物は、私たちのいのちを支える栄養素も乏しいものになってしまうのです。

2、水煮食品の増加

スーパーマーケットで売られている水煮食品。
手早く調理できて便利ですが、食材がすでに茹でられているわけですから、ミネラルを含む栄養素が水に溶け出て失われてしまっています。
水煮食品は、お惣菜やお弁当、レトルト食品などにも使われますが、そこから十分なミネラルを摂取することは難しいのです。

3、リン酸塩の使用増加

食品添加物のリン酸塩は、食品の中のミネラルと結合しやすく、その結果ミネラルは体内に吸収されずに排出されてしまいます。
微量ミネラルがリン酸塩と結びつき、体外に排出されてしまったら、すぐに不足が起こってしまうだろうことは想像がつきますよね。

この「リン酸塩」は、様々な物質の総称で、色々な食品に使われている食品添加物なので厄介です。
例えば、ラーメンなどの「かんすい」、パンの「イーストフード」、プロセスチーズの「乳化剤」、クッキーや焼き菓子の「膨張剤」「ベーキングパウダー」「ふくらし粉」、他にも「PH調整剤」や、「調味料(アミノ酸等)」これは化学調味料のことですが、「等」と書かれている場合はリン酸塩が含まれます。
もはや、「リン酸塩」を完全に避けることは不可能といえるでしょう。

このようなことから、私たちの口に入るミネラル分は不足しやすくなっています。
バランスよく食事を摂っていても、気づかないうちに何らかの微量ミネラルが不足してしまう。
これが、私たち現代人の食の現状なのです。

食生活の改善で見られた変化

昨今、深刻さを増している子どもたちの問題行動。

落ち着きがなく、授業中に立ち歩く、騒がしくてまともに授業ができない。
感情のコントロールができず、すぐキレる…。
大人では、うつ病や生活習慣病といわれる様々な病など。

これらの心身の不調について、これまでは社会の歪みや家庭でのしつけに原因を求めてきましたが、問題の多くが(全てではありませんが)、食事の改善により良い変化が見られたということが、様々な研究により報告されています。

『医法と刑法』著者 細井睦敬医師 
マクガバンレポート(1992年)
『食べなきゃ、危険!』著者 小若順一・国光美佳、食品と暮らしの安全基金  など。

以下、書籍『食べなきゃ、危険!』からの引用です。

 ミネラルは五大栄養素の一つだから、「必須ミネラル」が存在している。「必須」だから、不足すると、心身に異常が出る。
 ところが、ほとんどの人が、どう考えてもミネラル不足になる食生活をしているのだ。必須ミネラルが不足して心身に異常が起きている人が大勢いても不思議ではない。
 こういうことが、おぼろげにわかった二〇〇八年秋から、私たちは月刊誌『食品と暮らしの安全』でモニターを募り、天然ダシを用いて、さまざまな疾患がよくなるかどうかを確かめてきた。
 用いた天然ダシは、天然魚であるイワシと、やはり天然魚ではイワシとはミネラルバランスが異なるトビウオ、そして昆布を、沸騰させないように十数時間煮て抽出した液体に三温糖と天日塩を加えた「無添加白だし(三合わせ)」である。これなら、水煮食品で不足したミネラルを食事に戻して食べる効果が期待できる。
 このダシを料理に使うだけでなく、外食では上からかけてもらい、時には薄めて飲んでもらって、心身の調子がどうなるかを観察してもらった。
 すると、心身のさまざまな症状がよくなる人が次々と現れてきて、発達障害で困っていた子どもが、「奇跡」のようによくなった実例も出てきたのだ。

『食べなきゃ、危険!』著者 小若順一・国光美佳、食品と暮らしの安全基金 より

食事の改善、ミネラルの摂取により、心身のさまざまな症状がよくなった実例については、書籍『食べなきゃ、危険!』をご参考になさって下さい。

食生活の改善 粉末だしより、天然だしを!

心身に不調が出るほど、現代の食が乱れたものになってしまっていたなんて、ショックですよね。

上記の引用文にもありますように、書籍『食べなきゃ、危険!』では天然のだしを用いて不足のミネラルを補う方法が紹介されていました。
後ほど、ご家庭でできるだしのとり方をご紹介しますが、その前に、だしといえば最近は手軽な粉末だしをお使いになっている方もいらっしゃるかと思います。

粉末だしと天然だし。その違いについて、少し触れておきたいと思います。

私も、以前は粉末だしを使っていました。今も炒め物などに時々使うことがあります。
私の母は手軽な粉末だし派だったので、かつてはだしといえば粉末だしを思い浮かべるほど、それしか知りませんでした。
もしかしたら私だけではなく、現代はそんな人が増えているのかもしれません。

ところが、この粉末だしに一番多く含まれているのは、煮干しやかつおや昆布からとれた成分ではなく、うま味調味料(化学調味料)です。続いて食塩や砂糖類が、その次に多く含まれるのがかつお節粉末や、カツオエキスです。
これでは、本物のだしとは言えません。
当然、含まれるミネラルも微々たるものでしょう。

天然のだしの中でも、かつお節からとっただしは美味しくて人気があります。
しかし、ミネラルの摂取という点から見ると、かつお節からとっただしにはあまり多くのミネラル分は期待できないのだそうです。
かつお節は作る過程で一度「煮る」ため、ミネラル成分が水に溶け出てしまうためです。

日本人は、昔から煮干しと昆布でだしをとってきました。
そのだしこそ、ミネラル成分が含まれた、現代人に必要な天然のだしなのです。

本物の味 天然のだしでミネラル補給

先述の引用文にあるように、煮干し、あご(飛び魚)、昆布からだしをとります。

微量ミネラルの中には、加熱すると飛びやすいものがあるため、沸騰はさせず、弱火(75度以下)で30分くらい煮るのがコツのようです。

水1ℓに対して、煮干し、あご、昆布40gを弱火で30分くらい煮てこし、最後に塩と酢を加えます。塩は19g、酢は大さじ1の分量で紹介されていました。
できただしは冷蔵庫保存で1週間以内に使いきるようにします。

この天然だしを料理に使ったり、食べ物にかけたりすることで、ミネラルを補給するのですが、だしをとったあとの煮干しや昆布も無駄にはしないで下さい。
刻んでふりかけにしたり、煮物の中に入れたりすれば美味しく食べられますし、より多くのミネラルを補給できます。

化学調味料に舌がなれてしまっていると、煮干しや昆布からとっただしを「物足りない」と感じてしまうことがあります。
私もしばらくは「物足りなさ」を感じていましたが、天然のだしを食べ続けているうちに、味覚が変化してきたことに気づきました。
不足していたミネラル分を補えたことで、味覚が正常化したのかもしれません。
以前はあまり美味しいと感じられなかった、素朴な食べものを美味しいと感じられるようになってきたのです。

このように、味覚が正常さを取り戻してくると、様々なものが美味しく食べられるようになるので、ますます食のバランスが整ってきます。

積極的にミネラル豊富な食材を食べよう

微量ミネラルは種類が多く、天然のだしだけでは補いきれません。

他にも、様々な食材から摂取することを心がける必要があります。
皆さんもすでにご存知かとは思いますが、最後にミネラルが豊富に含まれる食材をあげておきたいと思います。

魚類
煮干しなどの小魚、サバ、サンマ、イワシなどの缶詰(缶詰は魚を丸ごと食べられる)シシャモなど。

海藻類
昆布、海苔、ひじき、わかめなど。

種子類、豆類
ゴマ、そば、玄米、雑穀、小豆、マスタードなど。

木の実
クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、銀杏、栗、ヘーゼルナッツなど。


これらの食材を組み合わせて、子どもたちと一緒に、ミネラル豊富なおかずやおやつを作って食べるのも楽しいものです。
私のお気に入りのレシピも今後、またご紹介しますね。

長くなってしまいますので、今回はこのへんで…。

皆様の健康とご多幸を、お祈りしています。