「石けん生活のススメ」の記事で、合成洗剤が体や環境に悪影響を与えるということを述べてきました。石けん生活のススメ①なんで石けんがいいの?
合成洗剤が持つ毒性についてより理解を深めるために、今回は実際に石けんと合成洗剤が植物に与える影響を調べてみたいと思います。
この実験は大根の種子に「石けん水溶液」「合成洗剤水溶液」「水」を与えて育て、その発芽成長具合を比較するものです。
一体どんな結果が得られるのでしょうか…?
検体
- 水
- 台所用合成洗剤…成分[直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド]
- 合成シャンプー…成分[水、DPG、コカミドプロピルベタイン、ココイルグルタミン酸2Na、スルホコハク酸ラウレス2Na、トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、セテアレス-60ミリスチルグリコール、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココイルグルタミン酸Na、PCA-Na、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ラウレス-4カルボン酸Na、ポリクオタニウム-10、クエン酸]
- 石けんシャンプー…成分[水、カリ石けん素地、グリセリン、トコフェロール、香料、クエン酸]
実験方法
- 大根の種を黒いものなどを除いて、1つの容器につき80粒になるように分ける。
- 浄水器を通して塩素を取り除いた水道水で、「水」「台所用合成洗剤」「合成シャンプー」「石けんシャンプー」の溶液を作ります。
今回はそれぞれ水100mlに対して0,08ml(スポイド2滴)を溶かしました。(製品それぞれの正確な濃度に関しては調べられなかったので考慮に入れず。) - 4つの容器にコットンを敷き、80粒ずつ種を入れ、2で作った「水」「台所用合成洗剤」「合成シャンプー」「石けんシャンプー」の溶液を入れて種が浸るようにする。
- 直射日光の当たらない室内(5月の室温18度〜22度程度)に置き、水分がなくなったら2で作った水溶液を与える。
観察
3日目で4つとも発芽し始めました。
5日目にそれぞれ根が出て成長していました。
7日目。それぞれに成長。ここまでなかなか違いがはっきりしませんでしたが、「水」「石けんシャンプー」の成長に比べ、「台所用合成洗剤」と「合成シャンプー」の成長がなんとなく遅れてきました。
ここまではあまり違いがはっきりしなかったため、写真撮影していませんでした。
溶液の濃度が薄すぎたのかなあ…。
しかし、14日目にもなるとその違いがはっきりとわかるようになりました。
14日目の様子
かいわれ大根の背丈の違いを見て下さい。
左端の「水」の容器のかいわれ大根に比べて、その隣の「台所用合成洗剤」の容器のかいわれ大根は明らかに背が低いです。
右端の「石けんシャンプー」の容器のかいわれ大根も「水」の容器のものと同じくらい成長していますが、その隣の「合成シャンプー」の容器のかいわれはやはり背が低いです。
頭をそろえやすくするために定規を置いてみました。
どちらの写真も左から「水」「台所用合成洗剤」「合成シャンプー」「石けんシャンプー」の順に並んでいます。
右の写真では葉に注目してください。
左から2番目の「台所用合成洗剤」の容器のかいわれ大根の葉は小さく、葉の端が黒く変色して縮れています。
ここからは、それぞれの根を見てみましょう。
「水」の容器で育ったかいわれ大根
かいわれ大根の背丈約11㎝。
根っこの色は白い。
右端の写真は顕微鏡250倍で見た様子です。
根っこは根毛(根の細かい毛のような部分)が観察できます。
「台所用合成洗剤」の容器で育ったかいわれ大根
かいわれ大根の背丈約9㎝。
根っこの色は黒ずんでいて、縮れたようになっている。
根毛がほとんど観察できない。
「合成シャンプー」の容器で育ったかいわれ大根
かいわれ大根の背丈約9.5㎝
根っこの色は少し黒ずんでいて、カビが生えているところがあった。
根毛はほとんど観察できず。
「石けんシャンプー」の容器で育ったかいわれ大根
かいわれ大根の背丈約10.5㎝。
根っこの色は白い。
最も根の張りが良く、根毛もたくさん観察できた。
結果
最初の1週間では違いがわかりにくく、溶液の濃度が薄すぎたかと思いましたが、2週間経った頃にはその違いがはっきりと現れました。
これは、合成洗剤は100mlの水にわずか2滴(0.08ml)という薄い濃度でも確実に植物に影響を与えるということです。
茎、葉については、「水」「石けんシャンプー」に比べて「台所用合成洗剤」が圧倒的に生育が悪く、次いで「合成シャンプー」も生育が悪かったです。
根についてはさらにわかりやすい結果となりました。
驚くべきはその色の違いです。
「台所用合成洗剤」の容器の中の根っこの黒さ!
これは、合成洗剤が植物の根の細胞を破壊してしまったことを示しています。
顕微鏡観察においても根毛が観察できませんでした。
「合成シャンプー」についても同じく、細胞破壊の様が観察できました。
「水」と「石けんシャンプー」の容器の根っこは白く、生き生きとしていました。
根毛もよく観察でき、特に「石けんシャンプー」の容器のかいわれは根張りがよく、根毛もたくさん出ていました。これは、石けんの成分が植物の栄養となったためだと思われます。
実験結果から合成洗剤は植物の成長に害を与え、石けんは植物の成長に害を与えない(むしろ栄養になる)ということがわかりました。
私のような素人でもこのような違いが観察できるのです。
みなさんもご自分のお使いになっているもので実験してみて下さい。
まとめ
今回の実験で、合成洗剤の主成分である合成界面活性剤の恐ろしい作用を観ることができました。
汚れを落とすという目的を果たすために、これほど毒性の強いものを使う必要があるでしょうか。
多くの人が、この真実を知らずに毎日使い続けているのです。
タバコでもアルコールでも真実を知ったうえで選択することができるのに、合成洗剤についてはその真実を知る者は少ないのです。
どうか、知って下さい。
あなたと地球のために。
子どもたちの未来のために。
石けん生活のススメ②食器を洗うコツ