私は2年程前から生活の中で使う洗浄剤は全て石けんを使っています。
以前は合成洗剤を使っていたのですが、皮膚のトラブルに悩まされることがあって、自分なりに色々調べているうちに、合成洗剤が人体や自然環境に悪影響を与えることを知りました。

以前は、洗剤なんてどれも似たようなものだとしか考えていなかったのですが、石けんと合成洗剤の違いを知った今は、もっと早く知りたかった!と思うほど石けんのファンになりました。

みなさんも石けんを使うことの快適さをぜひ知ってください。

「石けん生活のススメ」と題して、利点や使い方のコツなどをシリーズでお伝えしていこうと思います。
シリーズ1回目は、石けんと合成洗剤の違いについて簡単に説明します。

石けんと合成洗剤

界面活性剤という言葉を聞いたことがありますか?
水と油は互いにはじき合い混ざり合うことがありませんが、本来なじまないものをなじませる働きをする物質が界面活性剤です。

界面活性剤は、石けんと合成界面活性剤の2つに分けられます。

石けんは、天然の油脂を原料として作られた界面活性剤。
合成界面活性剤は石油分解物によって化学的に合成された界面活性剤です。

これらを全てひっくるめて私たちは洗浄剤と呼んでいますが、合成界面活性剤を使用している洗剤を、「合成洗剤」と分類しているのです。

手荒れが治らない…原因は合成洗剤にあった!

水仕事で手が荒れやすくなるのは、皮膚を守っていた皮脂膜が洗い流されてしまうせいです。

私も手荒れが気になって、水仕事のたびにハンドクリームを塗り直していたことがありました。
冬場は特にひどくなりがちで、ハンドクリームを塗っても治らない手荒れ。

だからといって水仕事を避けることもできず、荒れるのは仕方がないとあきらめていました。

しかし、合成界面活性剤の持つ特殊な作用を知ったとき、その手荒れの原因が水仕事そのものではなく、合成界面活性剤だったことが理解できたのです。


合成界面活性剤の持つ特殊な作用とは、

  1. 乳化作用
  2. 浸透作用
  3. 残留性、難分解性

この3つです。

その3つの働きについて、ざっくりと説明します。

人間の皮膚は、皮脂膜という脂の膜によって外界から守られているのですが、合成界面活性剤にはその皮脂膜を水となじませてはぎ落とす働き(乳化作用)があります。

石けんにもこの働きがあるのですが、石けんは水ですすぐとただちにその作用を失い、皮膚への影響は小さいのです。

しかし、合成界面活性剤は水ですすいでもその作用を失いません。
皮膚表面に長くとどまり、細胞膜を溶かし、皮膚内部にまで浸透します。(浸透作用)

その毒性も非常に強いのです。
しかも、分解されにくいため体内に長くとどまり細胞を破壊し続けます。(残留性、難分解性)


大した危機感もなく、毎日使っていた合成洗剤にこんなおそろしい作用があったと知った時はショックでした。
すすいだだけでは落としきれず、なかなか失活しないその働きで皮膚内部にまで浸透していたから、手荒れは治らなかったのです。

その働きは流された後も失われない

合成洗剤で泡立った水

合成界面活性剤は、分解されにくいため自然界でもその力を発揮し、生物に多大なダメージを与えます。
下水処理でも完全には分解しきれず、海底からもその成分が検出されています。

様々な種類の合成界面活性剤が環境の中で混ざり合い、別の化学物質に合成されることで、さらに強い毒性をもってしまったりすることさえあるのです。

一度流されてしまえば人間のコントロールできるものではなく、環境を破壊し続けます。
そして、汚染された水は巡り巡って結局は私たちに返ってくるのです。

石けんはたった1日で完全分解する

石けん(脂肪酸カリウムもしくは脂肪酸ナトリウム)は洗い流せばただちに界面活性剤としての作用を失い、残留することがありません。

その成分も、天然の油脂にカセイソーダやカセイカリを加えたシンプルなもので、誤って口にしてしまっても大丈夫なほど安全です。
そして、環境中に流された後は魚や微生物の餌になります。
石けんはたった1日で、完全に分解してしまうのです。
石けんと合成洗剤を比較!かいわれ大根の発芽実験

人にも環境にも安全、安心。だから石けんを。

緑とシャボン玉

石けんは5千年も前から人類が使ってきた歴史があるそうですが、合成洗剤は1950年頃アメリカから輸入され、急激に使われ始めたものです。
合成洗剤が使われ始めてまだ100年にも満たないのに、こんなにも自然は変わってしまいました。

川にメダカはおらず、ペットショップに行かないと買えません。
ホタルの舞う様子を見たことがある子どもも、ほとんどいないのではないでしょうか。

環境汚染という大きなテーマの中で、個人に何ができるのかということは難しく思えますが、合成洗剤ではなく石けんを使うという選択が、水の汚染を減らすことになるのです。

そしてそれは、自分自身の健康を守ることでもあります。

人にも環境にも安全、安心だからこそ、私は石けんを使うことをオススメしたいのです。


シリーズ第2回目は「石けんで食器を洗うコツ」など、キッチンでの利用法をご紹介したいと思います。
石けんに興味を持って下さった方はぜひ、読んでみて下さい。
お洗濯はこちら→石けん生活のススメ③お洗濯のコツ